とにかくジョアン・ジルベルト。

ジョアン・ジルベルトのコンサートに行ってきたわけです。
東京公演の四日目、つまり今回のツアーの最終日。


五時二十分開演、九時十五分終演。


2時間の予定が、アンコールにつぐアンコールでなんと正味四時間。
演奏した曲は、数えていないが、50曲を超えているのではなかろうか。
(途中に即興で「Japan」なんていう曲も作ってしまうぐらいだし)
しかも途中で2、30分、ジョアンが何も演奏せず、
観客の拍手(最後はほとんど手拍子だったが)だけがずっと鳴り響いたという「事件」まで。
(ただこれは去年の公演や今年の大阪の公演でもあったらしいが)
(最後は係員が「拍手を止めてくれ」とジェスチャーする、なんていうシーンまであった)
11000円という高額のチケットだが、それに見合うだけのものはあったと思う。
というか、おつりがくるぐらいだ。


彼の姿を見て、そしてその演奏を聴いて、思ったことは多々あるのだが、
それを書くのはまた後日にして、
「ほぼ日」のジョアンのライブの紹介ページにあった大貫妙子の表現が
非情に的を射てるように思うので、引用させてもらう。


──ジョアン・ジルベルトに限らず、
  本人が最も愛してるもの
  それに向き合う姿は人を感動させます。
  音楽に限らずに、人を感動させようと思ったり、
  考えたりして物を作るのは本末転倒だと思うんです。
  本当にそれを愛し、
  それがなければ自分が生きられないくらいに
  魂と一緒になったものが
  結果的に人も感動させるんだ、
  ということだと思うんですね。
  全ての芸術や、仕事もそうだと思うんだけれど。
  ジョアン・ジルベルトは、その神髄ですよね。
  (大貫妙子さん談)


本当に、そうなのだ。
おそらくは本人の予定にもなかったであろう4時間の公演、
それを何とはなしにさらっとやってしまうそのすごさは、
おそらくはその音楽に対する愛にあるのだろうと思うのだ。
彼はたぶん、家にいるときも、ずっとギターと一緒に歌っているのだろうと思う。
それだけ好きなのだ。そしてそういう付き合い方ができるということこそ、愛、なのだ。


ライブの最後は、残った観客(8割以上の人が帰らずに残っていた)総立ちのスタンディングオベーションだった。