寒い寒い。

今週あたり谷川岳を登ってこようと思っていたのだけれど、
突然の寒気の流入でまぁ寒いわ雪はドカドカ降るわでとてもいける状態でなし。
2月の終わりあたりにしようかな、と。残念だけれど。


フィルムセンターで山中貞雄の『人情紙風船』を見る。
これで彼の現存する3作品はすべてみたけれど、この人の映画というのは
本当に比類もなく美しい。映画的に美しい。
今まで作られた無数の日本映画の中で間違いなく最も美しい(小津さえ勝てない;黒澤の900倍ぐらいは美しい)し、
世界の映画史の中でも彼の映画に比肩する美しさを持つ映画というのはほとんど存在しないのではないだろうか。
河内山宗俊』のあの雪の美しさ。『丹下左膳百万両の壺』の全編に渡る喜劇的な美しさ。
そしてこの『人情紙風船』のあの雨の美しさ・・・
最も直接的な意味で映画を愛し、そして映画に愛された、そんな人間だったのだということがよくわかる。
(小津はその「愛」がもっと幾重にも屈折している・・・そしてそれこそが魅力的なのだ)
彼が太平洋戦争で死んでしまったことは嘆いても仕方ないとしても、
彼の全26本に渡るフィルムのうちほとんどが現存していないというのは、なんとも嘆くべきことではないか。


で、その後アテネ・フランセに行ってボリス・バルネットを見たのだけれども、
一本目が終わったあたりでどうにも気分が悪くなって、二本目を見ずにそのまま帰宅。即寝。
一夜明けたら大分良くなっていたけれど。


ところでぜんぜん関係ないのだけれど、今年のセンター試験の現代文はなんと
吉田喜重による小津安二郎論だった。とてもびっくりした。